ルポルタージュ
地域精神衛生活動これからの道—いわゆる"生活臨床"の場を訪ねて
増田 陸郎
1
1東京都目黒保健所
pp.313-318
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204268
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はじめに
群馬大学医学部精神科江熊助教授を中心としたいわゆる"生活臨床"は,われわれ公衆衛生の第一線において地域精神衛生活動を推進しようとするものにとって,注目すべき話題を提供している.そのフィールドワークの中心である伊勢崎保健所の杉村所長の好意で,私は昨年の晩秋の2日間にわたり親しくその片鱗を瞥見することができた.
この保健所では以前から江熊先生を中心に管内保健婦による精神衛生研究会が毎月第2か第3火曜日に1回行なわれている.見学するならその日がよろしかろう--ちょうど昭和45年11月24日にあたり,翌日は境町の役場で精神衛生相談が用意されている--との耳よりの話.これに出席すれば"生活臨床"も大約把握できるが,家族会は自主的なもので,それとの接触は自由にならないから直接交渉してほしいとのご返事を得た.参考までに保健所への交通の便を述べると,東京方面からは本庄駅(埼玉県)下車,東武バス新伊勢崎駅行約20分,三光町下車徒歩5分,また両毛線伊勢崎駅,東武鉄道新伊勢崎駅下車では歩いてもそう遠くはない.赤城連山の南に広くひらけたこの管内はその日秋の収穫も終って平和そのもののように静まりかえっていた.
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