私たちの保健所・27 群馬県・安中保健所
カドミウム公害ととりくむ
秋田 喜美
pp.183
発行日 1971年3月15日
Published Date 1971/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204231
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管内状況
管轄区域は県西部で,管内面積は275.73km2,7月1日現在管内人口は60,068名,安中市40,550名,松井田町19,518名である.南部を国鉄信越線が横断し,碓氷峠をへて軽井沢に通ずる国道18号線,むかしの中仙道がこれにやや平行して走っている.松井田町から西に浅間,妙義の連峰を仰ぎながら碓氷峠にむかうと,横川に釜めし,ドライブインがならび,関所跡がある.さらにのぼると碓氷湖(人造湖)があり,振返ると坂本の宿が美しく眺められる.妙義,碓氷峠の紅葉の美しさは格別で,新緑のすがすがしさとともに訪れるひとを楽しませる.裏妙義の景観もすばらしく,西部劇を思わせる雄大さがある.
安中市は同志社大学創立者新島襄の生家があり,質実な気風がある.最近は安中駅南側にある東邦亜鉛(株)安中製錬所のカドミウム問題で,「安中公害」として世間に注目され,当所も40歳以上の住民の健康調査にとりくむことになり,昭和43年度から群馬大学医学部とりわけ公衆衛生学教室をはじめ諸教室,医師会の協力を得て調査をつづけている.44年度は飲料水調査,食生活調査もあわせて行ない,大気汚染調査にも協力した.45年度は9月から10月末までの間に,いままで受けなかった30歳以上の住民もふくめて,同時に手指の調査もやる手はずで,健康調査を実施中である.
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