特集 公害問題—その新しい考え方
新潟水銀中毒事件の反省
北野 博一
1,2
1愛知県衛生部
2前新潟県衛生部
pp.82-87
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203819
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事件の呼称について
作家の水上勉氏が小説「海の牙」で熊本の水俣病をテーマにしたとき,架空都市"水潟市"としているが,水上氏自身は新潟にも水俣と同じように化学工場があったから,ひょっとしたら新潟にも同じ悲劇が予想されたのでと最近の手記に記している.地元のわれわれには全くといってもよいのであるが,そのような予感も危惧も持ち合わせなかった.
新潟に有機水銀中毒患者が多数発生し,その原因探求と被災者対策を進めるにあたっての行政的措置として,研究本部なり対策本部を設置することは当然のことであるが,その際に何と名づけるかが問題であった.種々議論の末,新潟有機水銀中毒事件と呼称することを厚生省に具申した.
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