特集 公害問題—その新しい考え方
イタイイタイ病研究の経過
石崎 有信
1
1金沢大・衛生
pp.77-81
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203818
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まえおき
神通川は岐阜県の飛騨山地から源を発して富山県のほぼ中央を南から北へ流れ,富山市街の西端を通って富山湾へそそいでいるかなり大きい川である.
その支流の1つ,高原川に近く鉛と亜鉛では日本一の産額を誇る神岡鉱山がある.その鉱山の歴史は古く天正17年(1589)に鉱脈が発見され,銀銅を産したという.大正年代にはいり選鉱法が近代化され大規模となるとともに,下流の神通川流域に稲作の被害が現われ農民が問題にした.鉱毒を含む細砂が多量に流入して稲は成熟が不完全になり,紫雲英は全く栽培が不能となったとして,農商務大臣および富山県知事に陳情書が出されているのが大正9年である.
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