特集 今後の結核問題
ろんそう
結核の撲滅のために
社会復帰の可能患者への早急な対策を
五島 貞次
1
1毎日新聞
pp.334-335
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203262
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結核は過去の疾病ではない
かつては恐るべき国民病といわれた結核も,医学や薬学の進歩と関係者の努力によって,急速に患者が減ってきた。昭和38年度の実態調査によると,患者数はそれまでの5年間に半減し,203万人と推定されている。死亡率も39年には23.5に下がった。死亡順位も長い間トップを占めていたが,年々低下して,38年には第7位となった。私たちのまわりをみても,結核患者は急速に姿を消し,日常の話題に病気のことが出ても,ガンや脳出血や心臓病の話ばかりで,結核を口にする人はほとんどいなくなった。
しかし,それなら結核はもはや問題でなくなったのかというと,決してそうではない。患者が減ったといっても,25歳から49歳の働きざかりの年齢層では,結核はなお死亡順位の2, 3位を占めており,依然,伝染病の大物の一つであることに変わりはない。結核に対する戦いは決して終わってはいないのである。
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