今月の主題 ウイルス肝炎1990
ウイルス肝炎の特殊治療
肝炎患者の早期社会復帰
石田 暉
1
1東海大学大磯病院・リハビリテーション科
pp.1552-1554
発行日 1990年9月10日
Published Date 1990/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909589
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一般に肝炎をはじめとする肝臓疾患は自然治癒も多いが,一部慢性化する場合もあり,再発・再燃に対する不安から入院・療養が長期化し,社会復帰までの期間が長びくことが常識とされてきた.しかしながら,リハビリテーションの立場から,可及的早期で,安全な社会復帰を求める考え方は以前から存在していた1).とくに,比較的予後の良い肝炎(B型,NonA,NonBの一部を除く)に対し,安静期間の短縮のいくつかの試みがなされてきた.朝鮮戦争,ベトナム戦争の経験から病後における安静は必ずしも必要でないことが叫ばれ(Kricker & Zilberg,1966)2),Chalmersら3)は460名の兵士に対しコントロールスタディを行い,運動群と安静群の間に再発率,回復までに要する期間は差のないことを示した.さらに,急性期であってもビリルビンの値が正常であれぼ強い負荷も安全に行うことができると述べている.その後次々に運動負荷の安全性に関する論文が発表され,段階的運動負荷の安全性や肝生検における安静群との間に有意差のない事実が,運動負荷積極論者の根拠となっている.しかしこれらの対象になった被験者は,兵士を含め病前には比較的体力に恵まれたもの達で,結果をすぐさま一般人にあてはめることは慎重にならざるをえない.以上の変遷を踏まえ,早期社会復帰を目的に,安静期間を短縮する筆者らのリハビリテーションプログラムの紹介を兼ねて述べていきたいと思う.
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