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最近における河川汚染の問題
K
pp.93
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203196
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近年の河川汚濁の進行は,著しいものがあり,最近の調査によると,現在および将来に汚濁の恐れのある河川は代表河川の約半数及び,その他の河川を含めると数十の河川が汚濁に頻している。すなわち隅田川(東京)寝屋川(大阪),和歌川(和歌山)など数河川は,十年来の著しい汚染で,河川の機能を全く失い環境衛生上多くの問題を投じている。日本は世界で最も平均雨量の多い国の一つであるが,人口一人当りの水量では,伊・英・独に準ずる少ない国であり,従って人口の都市集中化,工場排水の大規模化,調整ダムによる減水などが重なると,都市周辺の河川は汚濁に頻し,ほとんど下水道に等しい状態となる実態である。
このような現状を改善するため国としては,経済企画庁の水資源局を中心として河川水質保全行政につとめているが,その実効は遅々として進まない現状にある。現在水質保全行政は,水質二法として「公共用水域の水質の保全に関する法律」と「工場排水等の規制に関する法律」によって行なわれ,水質保全のための水域の指定を受けた河川は昭和41年1月1日から発効する大和川を加えると現在8河川になっている。
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