研究報告
河川の衞生について—(木曾川水質調査報告)
鯉沼 茆吾
1
,
錦織 宣寿
1
,
出原 汜
1
,
入谷 辰男
1
,
原田 昭
1
,
稻垣 芳久
1
,
藤井 治朗
1
,
伊藤 公子
1
1名古屋大学
pp.86-89
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201341
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河川は土地の動脈であると共に静脈ともなるものであるから,流れに従つて汚染することのあるのは当然であるが,之を日常生活に利用する立場よりすれば,河川の清淨は大きな関心事であり,殊に都市の上水道として之を利用する場合には,その水質の良否は市民保健上重大視すべきもので,源水河川の衛生確保は都市衛生の一貫として不断の注意を払わなければならないものであろう。
百万以上の人口を養う名古屋市上水道の源水は木曾川下流の水である。最近この源水取入口附近に工場を建設する計画があり,その可否について論議されているが,木曾川は全長232粁の大河で流域には若干の小都市があり,その内の一市には大規模の工場もあるので現状がいかなるものであるかを知ることは河川衛生対策上興味あることである。そこで私共は木曾川の水質調査を企て昭和28年7月16日一斉調査を実施した。幸に調査の翌日より大雨となつたが,この日までは晴天が続き当日午後一時小雨をみた程度であつたから,本調査は木曾川の夏の常態を捉ええたものとなしうる。
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