特集 農村の保健
地域活動
精神衛生活動の基礎的調査研究
斉木 佐代子
1
,
世古 貞子
1
1三重県立高茶屋病院生活療法部
pp.237-245
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203036
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精神衛生活動のための基礎調査としては,地域社会の中にある精神障害者の実態,精神病院退院者の動態などの他に,地域社会の住民が,精神疾患ならびに精神病院に対する認識の程度を知ることが必要である。
地域社会の中にある精神障害者の実態把握に関しては,昭和38年に厚生省がおこなった精神障害者実態調査1)において,全国的推計がおこなわれているが,その実態については,各地域によりその把握のされ方に大きな差があることが示されている。すなわち保健所に併設されている精神衛生相談所は,わが国における数少い精神衛生活動機関のうち有力なものであるが,その運営と住民の利用度,担当地域の実態把握度は所長により大きな差を生じさせているといわれる2)。従って,一つの地域社会の中における精神障害者の実態の真の把握は,多くの関係機関の協力のもとになされなければ目的を達しえない。我々は,諸機関の協力を得るために必要でもあり,またいったん医療機関との連携をもった精神障害者の将来の健康管理のためをも含めて,精神病院退院者の動態および,地域社会の精神病院に対する依存度などについて検討を加えたので,ここにその概要を述べる。
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