らいぶらりい 研究者のための文献学・7
調査研究活動と情報の提供
津田 良成
1
,
細木 朗子
1
1慶応大学医学部図書館
pp.61-63
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908911
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診療にたずさわる医師,そして看護者が日常業務の途上で多くの問題を見出し,あるいは問題に出会って,その解決をはかるための努力がなされることは,すなわち調査研究に従事することであります。たとえば,夜間専門看護婦制の導入のために,夜間の看護業務を分析し,所要時間と要員数の算出,服務線表による勤務体制の検討などの調査,あるいは乳児梅毒の治療について,乳児院内の歴年発生(入所)数,検査の実態,治療期間および使用薬剤などの考察,患者の睡眠管理に病室巡回の果たす役割について,睡眠阻害の要件と不眠の実態に関する検討など,調査研究の対象は数限りなく存在するといっても過言ではなく,学術機関にあればなおのこと調査研究に従事することは,個々に課せられた重要な任務でもあります。
調査研究はその対象によって方策はさまざまでありますが,どんな場合でも新しい知識を求めるとともに,新しい判断を下し,対象主題を十分に説明し得る理論を構成しようとするものであります。この新理論はすべての場合,突如として出現するというようなものではなく,過去の研究成果を基礎とした,積み重ねによって構成される性質のものであり,調査研究を行為としてとらえてみるならば,旧理論や過去の経験的事実を基礎にして,新たな科学的知識を付加しようとする科学的探究であるともいえましょう。
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