連載 あなたにもできる調査研究—事例をもとに・7
身体活動に関する調査研究
内藤 義彦
1
1大阪府立成人病センター集団検診第一部
pp.730-735
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902381
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近年における,肥満をはじめとした高脂血症,糖尿病,骨粗鬆症などの有病率や虚血性心疾患発生率の増加傾向の原因の一つとして,身体活動量(後述)の減少がしごく当然のように語られているが,それを裏付ける疫学調査結果は必ずしも明らかでない.確かに,労働における多くの身体的作業が機械化・自動化され,自動車や電車に頼りがちな日常生活,TV視聴やTVゲームなどで余暇時間を屋内で過ごしがちな生活が増えるなど,身体活動量が減少している状況証拠は十分にあるともいえるが,栄養調査における摂取エネルギー量の平均値の推移などの定量的なデータは見かけない.この理由の一つとして調査研究における身体活動の把握方法が必ずしも確定していないことがあると考えられる.本稿では,公衆衛生活動の調査・評価において,身体活動をどう考え,それに関連する情報をどう扱うかを論ずるとともに,私どもが実施してきた身体活動に関する調査研究の事例を紹介する.
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