特集 農村の保健
地域活動
農村での衛生指導のむずかしさ
村江 通之
1
1鳥取大学医学部衛生学
pp.207-212
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203027
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
先輩の研究したがらなかった農村衛生と取りくんでみたさに,昭和22年夏,恩師や同僚の反対をおしきって母校熊本医科大学から鳥取大学医学部の前身の米子医学専門学校教授に転出した。そして,後進性のつよい地方での公衆衛生学上からの大衆指導は,どのような手段をとるべきかを考究し,まずこの地方の民情を知ることが必要と気づいたのである。
このときは終戦後の混乱期でもあり,大衆の生活は長期間の戦争による不自由な生活のため,国民の80%以上が回虫を保有しているとさわがれていたときでもあった。そこで米子の周辺,すなわち鳥取県西部地区の民情と大衆の生活状態を観察するため,米子ならびに境港市(当時は西伯郡内に属した町村の合併により誕生した)と西伯郡下などの小学校(50校)と中学校(新制20校)との子どもたちの回虫寄生状況を調べた。調査成績はすでに発表ずみである1)2)。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.