特集 社会医学(第3回社会医学研究会講演)
一般演題
無専門医村に於ける検診成績とその対策(第3報)—特に社会医学的環境因子について
笠木 茂伸
1
,
馬場 三男
1
,
多賀谷 敬
1
,
五十嵐 とし子
1
1河野臨床医学研究所
pp.626-628
発行日 1962年11月15日
Published Date 1962/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202593
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医学はその診断技術と治療面に著しい進歩をもたらし,また予防医学と化学療法の発展により,肺結核と急性伝染病の激減をみるに至ったが反面,脳血管障害,心臓病とか癌や精神病等は増大を示している。経済状態の好転により一般国民大衆の生活水準は改善され,生活条件労働条件がよくなり,疾病は減少して健康増大が期待されるわけであるが,必ずしも実態はそうでない。もちろん国民の平均寿命は延び,死亡率も減少しているが,成人病は増加している。すなわち国民の健康は,医学が進歩したということと経済が好転したということとは,必ずしも平行するものではないということで,近代医学をいかに一般大衆あるいは無専門医村に応用しえたか,そしていかなる具体的方法により適用しえたかということ,また経済問題と労働に関しても,いかに合理的に運営実施されているかということの検討と改善がなされない限り,国民の健康増大は根本的には望まれないと考えられる。われわれは,昭和34年4月より対象を千葉県,茨城県の無専門医村地区にとり,疾病の発生分布,その地域特異性,労働と疾病の関係および健康増進対策をすでに報告(公衆衛生第24巻第11号および第25巻第11号)してきたが,今回は茨城県の東村の高血圧家族60軒を対象として,社会医学的環境因子について調査し,成人病多発地区である東村において,健康を阻害している因子が何であるかという発見と検討を行う目標を立てこの研究が実施された。
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