特集 社会医学
富山県下におけるいわゆるイタイイタイ病ならびにクル病の調査
河野 稔
1
,
中山 忠雄
1
,
笠木 茂伸
1
,
長井 剛
1
,
淵沢 健之助
1
,
藤井 晃夫
1
,
大出 博
1
,
多賀谷 敬
1
,
小松崎 尚
1
,
五十嵐 とし子
1
,
新里 清子
1
,
岩井 重寿
1
,
倉本 安隆
1
1財団法人河野臨牀医学研究所
pp.606-608
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202456
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緒言
われわれは数年間にわたり富山県下婦中町近郊に発生てしいるいわゆるイタイイタイ病の研究に従事してきたが,この疾患を社会的に重大な疾患としてとり上げたのは偶然われわれの研究所のリウマチ調査班が富山県下のリウマチ調査を行なつた際,重症ロイマチスらしい患者が負婦郡婦中町近郊に多発しているところがあるから是非調査して欲しいとのことで同地区の検診を行なつたところ,実はこれらのものの大部分はロイマチスではなく,全身の各場所の骨格に骨折を認め,かつその骨折が極めて修復機転の弱い性質を有し,生化学的所見,病理所見などにおいても,一見骨軟化症に類似するも詳細に観察すると明らかに骨軟化症とも異なり,在来の成書にもその例をみない奇異な病像を呈する骨疾患疾患であることが判明したが,さらに詳細にその本態を検討するため比較的本症に近いと思われるクル病ならびに晩発性クル病とも称せられる骨軟化症の調査を同じく富山県下氷見市近邸の山間の部落で行なつたところ,その数は意外に多く社会医学的にも種々の角度より検討を要する点が多々あると思われるので,今回はいわゆるイタイイタイ病と骨軟化症の比較検討ならびに学童のクル病集団検診の成績の概要について述べ諸賢のご教示を賜わりたい。
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