特集 社会医学(第3回社会医学研究会講演)
第3回社会医学研究会シンポジウム
"社会医学をどう理解するか"についての討論
pp.598-605
発行日 1962年11月15日
Published Date 1962/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202583
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曾田長宗(座長)皆様方からきたんのない,いろいろなご意見を拝聴いたしたい。また,いままでお話いただきました先生方にもご質問なり,補足なりしていただきたいと考えます。あるいは仙台とか岡山とかでもいろいろと中間的討議が行なわれたと聞いております。なるべく皆様から自発的なご発言をお待ちしたいのではありますが,差支えなければ,東北大の前田先生あたり如何でしょうか。先生個人のご意見でも結構ですから口火をきっていただきたいと思います。
前田信雄 私の考えでは,理念あるいは原理として,あるいはもっと明確にフィロソフィーとして,この社会医学をとらえてゆく仕方に対して危険を感じます。というのは,何かそういうことでもって,今われわれに課せられている必要というものを,ぼんやり誤魔化してしまいはしないかと思います。それからGrenzgebietという観点,いわゆる医学者が社会保険の問題を,あるいは経済学者が社会政策学のなかの医療保障の問題,医療の問題をとりあげてきた歴史というものを,何か軽視する,なかでもその体系を作ることへの軽視が生じはしないかということが懸念されるわけです。
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