Japanese
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特集 日本脳炎
節足動物媒介ウイルス(アルボウイルス)中の日本脳炎
Japanese Encephalitis Vrus as a Member of Arbovirus Group
大谷 明
1
Akira Oya
1
1国立予防衛生研究所
1National Institute of Health
pp.212-214
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904401
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I.緒論
日本脳炎ウイルスがカによつて媒介される疾患であることは疑いないところであるが,地球上にはこのようなウイルスがほかにも存在することが知られていた。しかしこれがウイルス分類のうえから特殊なグループとして位置づけられるようになつたのは,この群のウイルスに特異な赤血球疑集反応(HA)を使つて遺伝的に安定な免疫学的交叉反応がCasals1)らによつて発見されてからである。現在,200種を越えるウイルスが,A,B,Cその他多数の免疫学的な分類によつて分けられて,総称してアルボウイルス(Arbovirus)という名で呼ばれている(表1)。アルボウイルスの定義としては,一時はカやダニのような節足動物にも哺乳類にも増殖しうるものと漠然と定義されていたが,ウイルス個々の性状がしだいに明確にされるにしたがつて,その物理化学的構成,たとえばRNA型ウイルスでエーテル感受性のある構成分子をもつていることおよび35〜40mμの球型粒子であることなどの根拠で再検討されようとしている。この定義の問題はとにかくとして,現在アルボウイルスと呼ばれるウイルス群のなかで口本脳炎ウイルスがどのような位置にあるのかを考えてみることはたんに学問的にも興味あるばかりでなく,防疫,治療などの実際問題にも参考になることが多いと思うので,いくつかの観点からこれを眺めてみたいと思う。
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