原著
臨床検査より観た「だに」とその公衆衛生学的意義
早川 清
1
1早川予防衛生研究所
pp.580-582
発行日 1961年10月15日
Published Date 1961/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202450
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緒言
終戦直後米の代用として粉食が盛んであつた頃食品に「だに」が付着しているのが発見せられ,食品衛生上問題視されたことがあつた。その後食糧事情の改善とともに一時忘れられていたこの「だに」も昨年夏秋ごろ唐辛しなど香味料に付着発育しているのが所々見出されまたまた食品衛生上世人の注意を喚起するようになつた。
そもそも人体「だに」症としてその病的意義が認められたのはすでに久しく,1893年東京大学前身時代の外人教授スクリッパが三宅速博士とともに房州の一農夫で血尿を主徴とした患者の尿中に8脚の小動物を見出し,これを病原と考えNephrophagus sunguinalisとして報告したのに始まる。
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