綜説
学童,生徒の循環器系集団検診及び管理について
岡田 博
1
,
栗山 康介
1
1名古屋大学医学部・予防医学教室
pp.93-98
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202377
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はじめに
近年循環器疾患による死亡率は,わが国に於ても上位を占め,その早期診断及び予防が重要視され,成人を対象とする循環器疾患の集団検診及び管理についての諸報告1)〜8)がなされてきている。1957年の心疾患による死亡率をみると(第1表),人口10万につきオランダで182.4,アメリカ(白人)で339.7,イギリスで341.6となつているの対し,わが国においては73.1と,これらの欧米諸国より低率である。しかるに年齢階級別の死亡率をみると(第1図),29才以下は男女共わが国は他の国をはるかに上回り,特に5〜9才,10〜14才の小学生,中学生においては高率を示している(第2,3表)。ここでこれらの年齢階級における死亡率の推移を昭和元年よりみると(第2図),全死亡率も心疾患による死亡率も戦後漸減してきている。しかし10〜14才の心疾患による死亡率の下降状態は全死亡率のそれに比較すると,減少の程度がゆるやかである。そこで心疾患の全死亡に対する割合をみると(第4表),5〜9才,10〜14才ともその占める割合は最近大きくなり,昭和33年では5〜9才の男子は3.1%,女子は3.5%,10〜14才の男子は6.5%,女子は11.1%と,いずれも大正及び昭和の初期を上回り,昭和33年では5〜9才では男女とも死因順位第7位,10〜14才では男子第3位,女子第2位に位している。
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