綜説 今後の保健所活動をめぐる諸問題
保健所活動の現状と問題点に関する考察
竹村 宏之
1
1茨城県衛生部保健予防課(第9回公衆衛生院正規医学科)
pp.378-381
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202149
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1.序論
戦後十年余を経て,わが国の公衆衛生の発展はめざましいものがある。1例を示せば,結核死亡率の激減が挙げられる。それに伴つて,社会環境の複雑化その他により,衛生に対する要求はぼう大なものになつてきた。しかし,わが国ではこれらの仕事の非常に大きな部分が保健所に負わされているのであつて,年々増大する要求量の下に,あえいでいる感が深い。しかし,始めからこのような状態に保健所があつたのではない。設立当初はその要求に対して妥当な形で建てられたのであるが,年々の情勢の変化によつて,現状では運営管理上かなりの矛盾を含んでおり,保健所運営について再検討が望まれるようになつてきた。
衛生のプログラムには,原則的に,1)質的,内容的に,どのプログラムが必要であるかの考察,2)量的,方法論的考察の2方向があり,この両者は保健所活動全般に同時に与えられなければならない。これを具体的に示せば次の 5項目になる。すなわち,a)問題の探知b)行うべき業務量の測定c)行いうる業務量の測定次でb)とc)との間のギヤツプを,d)業務の重点指向によつて満すべきであり,更にそれらと平行して,e)地区組織活動の活用を図らなければならない。
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