特集 明日の公衆衛生
今後に期待するもの
老人病対策
松岡 脩吉
1
1東京大学
pp.10-17
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201842
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1.問題としての老人病
老人病対策といえば,まず老人病とは何か,そしてその対策は,といつた順序になるであろうが,さて老人病とは何か,ことに,公衆衛生の問題として注目されるようになつたものとしての老人病とは何を指すかとなると,充分に明確でないともいえる。
男子における前立腺肥大症が老人病であることには,誰も異存はないであろう。1955年のわが国の死亡統計3)で見ても,40才以上で始めて現われ,高年令になるほどいよいよその死亡率は高まつている。明白な老人病としての前立腺肥大症による死亡の年令的傾向をもつて定型的とするならば,このような定型的な傾向を示す疾病は他にもないことはないにしても,それによる死亡の絶対数は極めて少ないのである。1955年におけるわが国男子総死亡数365,246中前立腺肥大症によるものは311例に過ぎない。
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