講座
症例による老人の精神医学—老人の精神病
金子 仁郎
1
1大阪大学医学部精神医学
pp.239-242
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204245
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老年期に最も多発する精神病は老年痴呆や脳動脈硬化性痴呆のように痴呆をきたす疾患であるがこれについては次の章で説明する.このような痴呆以外に老年期にもその他の精神病が発生し,精神分裂病,殊に妄想型やうつ病もかなりしばしば認められる.ことにうつ病は更年期以後に多く発生し,老人の自殺の主要要因となる.自殺はわが国では20歳代にかなりみられるが,一般に諸外国を通じて老人になるほど自殺率が高くなるものである.このほか老人は種々の原因で意識障害,もうろう状態,譫妄状態を呈することも多く,この処置が適切でないと死亡することも多い.
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