原著
平塚市港小学校に発生したブドウ球菌性食中毒のフアージ型別による檢索
羽深 泰雄
1
,
米山 磐
2
,
中平 百合子
2
,
宮本 泰
2
1国立予防衛生研究所
2神奈川県衛生研究所
pp.63-67
発行日 1957年3月15日
Published Date 1957/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201802
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緒言
ブドウ球菌は,諸種化膿性疾患の病原体や食中毒の原因菌として,臨床上,疫学上重要な役割を演じているにもかかわらず,その種類は多様であり,未だ広く利用され得るような適当な型別方法が見出されなかつたため,ブドウ球菌による疾病の原因究明は,困難な問題とされていた。しかるに近年,バクテリオフアージによるブドウ球菌の型別が行われるようになり,臨床上,疫学上この問題の解決に有力な手がかりが得られるようになつて来た。ブドウ球菌のフアージによる型別法は,古くから研究されており,Fisk1)2)3)により一応体系化され,Wilson and Atkinson4),Wahl,5)6)7)8)Blair9),Williams10),Jacnson11)等によつて実用化の研究が進められて来た。我々は,英国のType Culture CollectionからWilliams等のブドウ球菌型別フアージを入手することが出来,これを,たまたまブドウ球菌による集団食中毒の原因検索に利用する機会を得たが,その結果,以下にのべることく,フアージ型別によつて,原因食から検出されたブドウ球菌が,患者の便から検出されたブドウ球菌及びその原因食製造業者の咽頭から検出されたブドウ球菌と全く同一のものであつたと云う興味ある成績を得ることが出来たので,2,3の知見とともにここに報告する。
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