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臨床研究
産婦人科領域におけるブドウ球菌の薬剤耐性とファージ型別
Antibiotic-resistance and bacteriophage typing of staphylococci in obstetrics and gynecology
松田 静治
1
,
井橋 力
1
Seiji Matsuda
1
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
pp.427-437
発行日 1958年6月10日
Published Date 1958/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201764
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緒言
近年新抗生物質が相次いで出現し治療が著しく容易になつた反面,抗生物質に対する耐性菌が増加しつゝあり,交代菌症と共に大きな問題となつているが,産婦人科領域感染症において重要な位置を占めるブドウ球菌は一般に薬剤に対して耐性を獲得し易く,Penicillinだけでなく他の抗生物質に対しても耐性を示すブドウ球菌が増加する傾向にあり,耐性獲得の状況が多岐多様にわたるため,二重,三重の交叉耐性についても観察しなければならない治療困難な症例にしばしば遭遇することがある。この様な現状でブドウ球菌につき,最近の抗生物質を含めて広く感受性或いは耐性の状況を観察しその動態を検討することは,耐性ブドウ球菌感染症の治療に際して欠くことの出来ない問題である。
感染症において病巣よりブドウ球菌が検出されたとしても,これが必ずしもその病巣の病原菌であると決定することは妥当とは云い得ず,殊に性器由来の菌株においては慎重を要する。混合感染ならずともブドウ球菌が単に腐生菌的存在として発見される場合もあるからである。従つてブドウ球菌の中で特に病原性を有するものの特微を追究することが必要と考えられるが,従来の色素産生能により黄色,白色にブドウ球菌を分類する方法では不充分であり,最近欧米においてはバクテリオファージによる分類が盛んに用いられるようになった。
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