原著
長野県下一農村に於ける井水の細菌学的研究—特に汚染指標としての腸球菌に関する検討
柳沢 君子
1
,
須田 正男
1
,
宮林 晃
2
,
木村 康正
2
,
竹内 端弥
2
,
渡辺 益夫
2
1東京医科歯科大学農村厚生医学研究施設
2千葉大学腐敗研究所腐敗研究部
pp.58-61
発行日 1957年3月15日
Published Date 1957/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201801
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近年公衆衛生の発展に伴い,町村に於ても飲料水の供給施設として簡易水道が設置される様になつたが,全国的にみる時は未だその数は僅少で依然として井水は飲料水としての重要な位置を保つており,赤痢の流行がこれ等井水により伝播される事が多い状況である。飲料水の衛生学的な検査を実施する際,細菌学的検査特に大腸菌群検査は糞便汚染の有無を判定する上に欠く事の出来ない項目であり,厚生省編纂飲料水検査指針1)に於ても特に重点が置かれている所である。柳沢教授2)は飲料水検査指針に従つて千葉県学校井水808件について調査を行われ,化学検査は大腸菌群検査に比較して汚染の指標としては適切でないと述べられている。
最近欧米に於て腸球菌の選択培地に関する研究が進み腸球菌の検索が容易になり,検出率が高くなると共に,プールの水,河水,下水等に対して従来汚染指標として使用されていた大腸菌群,大腸菌の補助又は代りのものとして腸球菌が使用できるものではないかと考えられる様になり,Walter Morris等3)は井水に於て大腸菌群及び大腸菌のM.P.N.値と腸球菌のM.P.N.値との比較検討を行つている。
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