研究報告
結核医療実状の一斑—名古屋市西区に於ける調査
前田 鍵次
1
,
土屋 高夫
1
,
宇治谷 喜代子
1
,
伊東 和子
1
,
高橋 進一
2
1名古屋市内保健所
2名大社会学教室
pp.21-28
発行日 1955年9月15日
Published Date 1955/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201595
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序言
わが国の結核死亡は周知の様に近年減少し,特に靑年層に著しいのであるが,罹患者は,これに反し明らかに壮年層の特に男子に増加の趨勢を示し,戦後の壮年層罹患率は戦前の2-3倍に及んでいる。1)2)3)この様に罹患者が壮年層,従つて多く家庭生活の中心をなす人々であることに伴い,病変の程度によつては経済的の困難にも耐えて長い療養生活を続けねばならない例が多くなるのは見易いところである。最近結核対策の中心問題として医療保障が論ぜられているのは遅まきながらも当然のことである。
結核対策を樹てるには罹患の実情を知ることがまず大切で,28及び29年度に結核実態調査が厚生省により行われた所以であるが,同時に又罹患者がどの様な療養生活をしているかを知ることもこれに劣らず必要と思われる。さきに私共は当市西区民の結核罹患の情勢を知つたので,3)今回更にこれらの罹患者の療養生活の実情を知ろうと企てた。
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