特集 生活改善運動の課題
上府中村の記録を讀んで
石垣 純二
pp.48-49
発行日 1955年11月15日
Published Date 1955/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201615
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上府中村の家族計画運動の記録を読んで,まず感じたことは,この村が本当に恵まれた条件にあったということ。早い話が,人口が2,600余の,大きすぎずまとめて行くのに好都合の規模であつた。神奈川県下でも,わりと富裕で進歩的な村であつたことは,すでに乳幼児指導で厚生大臣賞を受けている事実に察せられるし,それだけの実績を持ち,キヤンペーンに対する経験も積んでいた。
さらに指導者の顔ぶれを見るとよい。日本最高級のメンバーをそろえ,さらに神奈川県衛生部までこれに肩入れをしている。これ以上の指導者陣は日本全国どこでも考えられないほどである。これだけの条件をそろえて成功しなかつたら不思議なくらいだ。といつて,私は村民や村当局の努力や熱意を軽視しようというのではない。そうではなくて,受胎調節運動の成功には,いかに必要条件が大変なものであるかに注意を喚起したいから,こう言つているにすぎない。
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