研究と資料
梅毒血清反應の感度と特異度に就て
北野 政次
1
1大澤實驗治療學研究所
pp.331-340
発行日 1948年10月25日
Published Date 1948/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200354
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1.まへがき
本年9月1日より施行された性病豫防法の普及につれ,梅毒血清診斷が公衆衞生上,更に重視されるに至る事は明かである。從來主として臨牀病理試驗として行はれた梅毒血清反應が集團檢査として活用せられ,保健所や産業方面の工場或は會社等で,勵行される機運にある。現に香川縣や神奈川縣,東京都等では,既に實行に移されてゐる。從て梅毒血清診斷實施の要領竝に其判定に關しては公衆衞生に携はる醫師は勿論,一般衞生技術者も幾分の知識を有する必要がある。梅毒血清診斷は,補體結合反應を應用したものと,沈降反應を應用したものに大別する事が出來るが,最近に於ける沈降反應の進歩と,他方には前者に動物を要し我國の現状に於ては其的確な實施が困難な事情もあつて,厚生省に於ては先般梅毒血清反應は村田法,北研法,井出法の中,二者を實施して判定するやう通牒されたのであるが,當研究所に於て,カーン梅毒診斷液製造認可申請中のところ之が許可されるに及んで。我國では更にカーン梅毒診斷法が採用せられ,近く厚生省より之等の沈降反應中,二以上を實施して判定するやう指示される由聞き及んでゐる。
カーン梅毒診斷法に就て當所の實驗成績に就ては(早川,増井)は,綜合醫學に寄稿したので,爰には梅毒血清反應檢査の際必らず問題となる感度,帥ち鋭敏度と特異度(特異性)に就て述べやうと思う。
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