論説
學校醫と學校衞生
早川 淸
pp.21-22
発行日 1948年5月25日
Published Date 1948/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200289
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文部省新井保健課長が本卷4號に學校に於ける衞生教育と題して記述せられた論説は極めて適切で同感に思う。發育過程にある青少年子女の年齡的關係より言つても學校に於ける體育保健養護が個人の將來に及ぼす影響の極めて大なることは言うまでもない。然るに目下の状況に於てこれが實施は極めて不統一不完全で,責任の所在も明らかでない憾がある。例えば學校に於ける衞生教育,養護は實際校醫か,教師の何れが實施しありや,ひいてはその所管も文部省か,厚生省かも明瞭でない。從來學校醫なるものの業務觀念が救急治療位の極めて消極的な意義に止り,衞生専門業務に明るくない教師諸氏にまかせられていた一般的傾向がなかつたであろうか。現在,學校特に國民學校に於いて校醫が専任せられている所は一つもなく,殆んど開業醫師の片手間的業務範圍に止まり,形式的な定期身體檢査以外何物もない。然るに實際,養護の面に於てもまた學校精神衞生,學校給食,結核,寄生蟲豫防,保健指導,視器保護等幾多の專門重要事項が山積している。一校に少くも醫師特に公衆衞生に造けいある醫師の專任が必要と思う。又學校には衞生室を必ず設置して以上の事項を實施し,かつその教育に専用する場所が必要である。他方また學校醫を如何に待遇するやの問題であるが,現に都内各區學校校醫の待遇は驚くべき薄給である。
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