論述
豫防接種施行心得に就て
山口 大九郞
pp.286-294
発行日 1948年9月25日
Published Date 1948/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200346
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戰後公衆衞生状態の惡化は傳染病の多發流行を來し,國民保健の向上増進上誠に憂慮されたのでありますが,最近は我國防疫史上劃期的に傳染病の激減を示してきたのであります。この成果は種々なる防疫措置が構ぜられた結果でありますが,その1つの大なる原因として豫防接種の徹底的勵行が擧げられるのであります。又慢性傳染病である結核の豫防接種も統計上明らかに有效なる事を示しており,このように豫防接種が傅染病豫防上卓效あるに鑑みまして今囘法律を以て有效であると確認されている豫防接種を強制的に國民に行ふ事になり,傳染病豫防法,結核豫防法に基く措置と相伴つて傳染病の徹底的豫防を期することになりました。
然し此等有效なる豫防接種と雖も適切なる接種方法,接種量及び施術時の充分なる注意を怠る時は,所期の目的を達する事が出來ないばかりでなく極く稀れには不測の障碍を誘發することもあり得るので今囘施行上の心得が詳細に告示されることになりましたので豫防接種施行時にはこの心得に規定されました事を嚴守して遺憾なきを期せられ,傳染病豫防上,ひいては公衆衞生の向上増進に寄與あられん事を切望します。
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