連載 リレー連載・列島ランナー・60
被災地における保健師活動について―管内市町の伴走者として
花崎 洋子
1
1岩手県大船渡保健所
pp.213-216
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102975
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はじめに
東日本大震災からまもなく3年.いまだに言葉に尽くせない思いが錯綜する.自身をはじめ被災した住民にはいまだ仮設住まいから踏み出せていない人も数多い.何処に向かって行こうとしているのだろうか….気持ちも生活も投げやりになってしまっている.幸福感には程遠い.喪失感もぬぐいきれない.あの地に30年と築いてきた生活そのものが,一瞬にしてすべてなくなるなんて….あの時からどのようにして今に至ったのかも思い出したくない.
しかし,私には保健師という仕事があった.多くの人と出会い,多くの人と語り合い,多くの人に支えられて,今もなんとか仕事を続けている.
現在,大船渡保健所管内の市町を含め,保健師は世代の交代を迎え,若い人材が投入されている.地域を知り,地域の住民とともに健康課題に取り組む,保健師魂ともいうべき熱き思いを若い世代に伝えていかなければ,との思いが強くなっている.
大船渡保健所(以下,保健所)では,大船渡市,陸前高田市,住田町を管轄し,その2市が東日本大震災・津波の直接的被害を受けた.発災直後から現在に至るまで,保健所保健師がそれぞれの市町に継続してかかわり続けている.
保健所保健師として精神保健福祉に取り組み,被災地における保健師活動に携わっている状況についてお伝えしたい.
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