日本災害看護学会 1・17メッセージ
被災地から伝える思い―多くの人々に支えられた被災活動から得たもの
赤松 佳代
1
,
中野 輝美
2
,
八田 純子
3
1兵庫県洲本健康福祉事務所保健指導課
2兵庫県津名郡一宮町役場住民福祉課
3兵庫県明石健康福祉事務所健康課
pp.179-181
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100018
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混乱と不安のなかで取り組み,学んだこと
震災から早8年の月日が流れた。当時保健師として7年目であったが,いまは中堅と呼ばれる年代になった。異動などに伴う職場環境の変化により,当時の震災活動をともにした仲間は自分の周りからいなくなり,震災時の経験を言葉で語り合うことはなくなった。しかし,このメッセージを書くにあたって,あらためて振り返ってみると,日常,言葉では表現していなくても,震災体験が普段の保健師としての活動のなかに生かされていることに驚かされる。
あの時,何より戸惑ったことは,現場で見たこと,聞いたことをその場で判断しなければならなかったことである。避難所内での,分単位で変化するあふれんばかりの情報から,その場で判断し,即,行動に移すことの責任の重さに,気持ちが押しつぶされそうになった。そしてその気持ちは,経験不足の自分にとっては言い表しようのない不安となっていった。
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