Japanese
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特集 大震災と循環器・呼吸器疾患
大震災と脳卒中:わが国における経験を踏まえての検討
Impact of Severe Earthquake on the Occurrence of Stroke:Experience from the Noto Peninsula Earthquake in Japan
北 義人
1
,
川尻 剛照
2
,
土田 真之
1,3
,
寺本 了太
1,4
,
藤野 陽
2
,
今野 哲雄
2
,
山岸 正和
2
Yoshihito Kita
1
,
Masa-aki Kawashiri
2
,
Masayuki Tsuchida
1,3
,
Ryota Teramoto
1,4
,
Noboru Fujino
2
,
Tetsuo Konno
2
,
Masakazu Yamagishi
2
1市立輪島病院内科
2金沢大学医薬保健研究域医学系臓器機能制御学・循環器内科
3加賀市民病院内科
4珠洲市総合病院内科
1Department of Internal Medicine, Wajima Municipal Hospital
2Division of Cardiovascular Medicine, Kanazawa University Graduate School of Medicine, Kanazawa
3Department of Internal Medicine, Kaga City Hospital
4Department of Internal Medicine, Suzu City Hospital
pp.917-923
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102043
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はじめに
2011年3月11日に発生した東日本大震災は,最強マグニチュード9.0を示す大地震であり,さらにその後の大津波による広域被災と原子力発電所の事故という過去に類を見ない複合的な大規模災害をもたらし,今なお多くの人々を苦しめている.地震などの大規模災害においては,発生直後さらには時間経過とともに,急性冠症候群や脳卒中などの心脳血管疾患の発症が増加することが知られている1).急性冠症候群については,1994年のロサンゼルスNorthridge地震や2)1995年の阪神淡路大震災において3),地震により急性心筋梗塞が増加し,さらにそれが被災の強さと相関したとの報告がなされている.
脳卒中についても,阪神淡路大震災における調査で,地震により有意な増加を認めたとの報告があり4),また,被災の強度と脳卒中の発症に関連がみられたとの報告もある5).2004年の新潟県中越地震においても,内因性死亡者のうち14%が脳卒中であったとの報告がなされている6).このように大規模災害時における心脳血管疾患発症の増加は,外傷対応が中心であったこれまでの災害医療においても看過できない問題となっており,今後は発症の未然防止が求められるところである.本稿では,大規模災害時における脳卒中の発生や予防対策などについて,自験例を含めながら概説してみたい.
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