視点
駐在保健婦の聞き取りから見えてきたこと
木村 哲也
pp.346-347
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102736
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駐在保健婦の時代
保健婦駐在制という制度が,かつて存在した.警察の駐在制にならって戦時の1942年に全国でとられた制度だった.戦後には唯一,高知県で実施され,地域保健法の完全実施の方針を受けて1997年に廃止されるまで,地域に密着した活動として評価されてきた.米国占領下の沖縄でも導入され,また青森県などでも保健婦派遣制としてかたちを変えて導入されたりもした.高知県という一地方の実践が,全国各地に影響を与えたユニークな事例である.
私がこの制度について知ったのは,祖母が高知県の駐在保健婦経験者だったことによる.小学生の夏休み,祖母の働く保健婦駐在事務所に遊びに行った思い出がある.歴史学を学び始めた学生時代以来,保健婦駐在制をテーマに歴史研究に取り組んできた.
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