連載 保健師さんに伝えたい24のエッセンス―親子保健を中心に・20
不登校,ひきこもりをめぐって
平岩 幹男
1,2
1国立成育医療センタークリニカルアドバイザー
2Rabbit Developmental Research
pp.955-958
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101954
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不登校,ひきこもりはさまざまな原因によって引き起こされる状態の呼び名であり,疾患名ではありません.その状態を示しているだけです.この両者は,原因はどうあれ,社会性の喪失につながり,社会への復帰が長期化すればするほど困難になるという問題を抱えています.ひきこもりの多くは不登校をきっかけとして始まりますので,これらは相互に関係の深いものですが,保健部門への相談の導入や対応は大きく異なります.不登校の相談は,通うはずの学校が存在しているときに寄せられます.ですから保健部門が最初の相談先であることは少なく,学校や教育相談など,いくつもの相談の果てに困り果てた保護者からの相談として来ることが多いようです.
一方,ひきこもりの場合には問題視され,相談を寄せるのは年齢が義務教育を終えてからのことが多く,通うはずの学校も存在していないために,使える社会資源はとても少なくなります.福祉部門か保健部門かしか相談する場所がないのが現状ですから,最初に保健部門に相談が来るということもあります.ですから関係の深い両者であっても,対応を要求される保健部門のスタンスは異なります.
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