視点
アジアのHIV対策のこれまでとこれから
藤田 雅美
1
1WHO(世界保健機関)カンボジア事務所・結核チーム
pp.924-925
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102610
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はじめに
毎年12月1日の「世界エイズデー」は,今年で25回目になる.この間,世界そしてアジアのHIV(後天性免疫不全症候群)とその対策は大きな変化を遂げてきた.減少に転じた世界的な新規HIV感染者数とAIDS関連死,および各国で積み重ねられて来た社会的な成果を踏まえ,2011年から2015年の「世界エイズデー」のテーマは「Getting to Zero」(新規HIV感染,AIDS関連死,差別と偏見の根絶に向かって)と設定されている.アジアにおいても,2001年からの10年間に推定新規HIV感染者数が約20%減少し,2006年からの5年間にエイズ治療を受けられる人が3倍に増えるとともに,「HIVとの共生」が進んできた.
そのような中,日本のHIV感染者報告数は増加を続けており,「行政と社会との協働した公衆衛生活動へと転換する」必要性が指摘されている1).また,「アジアのHIVの流行は,わが国の異性間,同性間感染両方に影響を与える可能性がある」とも言われており,国を越えた協力と交流は,今後より一層重要になってくると思われる2).
1990年代半ばから,タイ,ベトナム,カンボジア等アジア諸国のHIV対策に携わってきた経験から,アジアのHIV対策について私見を述べたい.
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