特集 他職種から見た保健婦との連携
【NPOから見た保健活動】
パートナーシップで行うHIV対策
五島 真理為
1,2
1特定非営利活動
2HIVと人権・情報センター
pp.750-754
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902256
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国連が2000年6月27日に発表したAIDS患者の世界分布はアフリカ諸国が極めて深刻な事態にあることを示しており,とりわけ420万人が感染している南アフリカ共和国(以下,南ア)では,15歳の男女の半数がAIDSで死亡すると予測されている。同日の厚生省の発表でも,わが国の昨年1年間の感染および患者の新規発生は,ともに過去最大であった。われわれ「HIVと人権・情報センター」(JHC)の12年間にわたる約10万件の電話相談結果からも,国内での感染が増加していること,特に若者層への感染が拡大していることを確認できる。
本稿は第13回国際エイズ会議が開催される南アに飛び立つ直前に記しているが,この会議においても,戦争よりも深刻な危機の現状が示されるにちがいない。国連はHIV感染の拡大が人間の安全保障を脅かす重大な危機であると指摘しているが,そのような危機に対して,わが国の保健婦活動とNPOは,どのように連携しつつ対処することができるだろうか。若者への啓発,HIV感染者ならびにAIDS患者の地域ケア,および一般市民への相談など,10年にわたって保健所との連携の実績をつくってきたNPOとしての経験から,今後の連携の可能性について本稿では述べたい。
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