増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
産科編
VII 偶発合併症妊娠
HIV
谷口 晴記
1
,
千田 時弘
2
,
塚原 優己
3
1三重県立総合医療センター産婦人科
2紀南病院産婦人科
3国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター産科
pp.296-299
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103743
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
疾患の概要
当初,HIV母子感染は,治療しなければ約40%に成立し,約5%は子宮内感染,約15%は分娩時感染で,その約半分は産道感染,そして出生後母乳を介しての感染は約20%と考えられていた.1990年代初め,ジドブジン(別名 : アジドチミジン,商品名 : レトロビル®)の内服が,ほかの方法と組み合わせることにより,母子感染率を下げることが判明した.現在では,HIV感染妊婦に対してジドブジン単剤療法ではなく,多剤併用療法(combination antiretroviral therapy : cART)が施行されている.
本邦における現時点でのHIV母子感染予防対策は,(1)妊娠初期のHIV検査実施による感染診断,(2)妊娠中の抗HIV療法,(3)陣痛発来前の選択的帝王切開術,(4)帝王切開時のジドブジン点滴投与,(5)出生児へのジドブジンシロップ予防投与,(6)出生児への人工乳哺育である.これらの組み合わせで,HIV母子感染率は,1%以下に抑えられている.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.