増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
HIV-1,HIV-2
中村 哲也
1
,
森本 幾夫
1
1東京大学医科学研究所ウイルス疾患診療部
pp.524-528
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906453
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
レトロウイルス科のレンチウイルス亜科に分類されるヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)にはHIV-1とHIV-2とがあり,AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)の原因ウイルスである.
HIVの外被糖蛋白質(HIV-1:gp120/HIV-2:gp125)がTリンパ球,単球やマクロファージの細胞膜に発現しているCD4抗原に結合すると,外被膜と細胞膜との融合が起こってHIVは細胞内に入り感染が成立する.細胞内に入ったHIVゲノムRNAは逆転写酵素(reverse transcriptase:RT)により2本鎖DNAに逆転写され核内に入り,宿主DNAに組み込まれプロウイルスとして存在し,宿主細胞自身の転写調節機構を巧みに利用しながらHIVを複製する.複製したHIVは直接的あるいは間接的な経路でCD4陽性Tリンパ球を傷害する.
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