特集 糖尿病の今
食品の摂取スタイルと血糖への影響
今井 佐恵子
1
,
梶山 静夫
2,3
1大阪府立大学地域保健学域総合リハビリテーション学類栄養療法学専攻
2梶山内科クリニック
3京都府立医科大学内分泌糖尿病内科
pp.796-799
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102554
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
糖尿病は,インスリン抵抗性に基づく高血圧,脂質異常症など動脈硬化のリスクファクターを有することが多く,これら代謝異常は重複して動脈硬化を促進する.DECODE study1)やFunagata study2)では,空腹時血糖値よりも食後血糖値のほうが心血管死や総死亡率に関係することが報告され,STOP-NIDDM3)では食後血糖値を改善することにより,心血管イベントの発症抑制ができたと発表された.食後高血糖は重要な動脈硬化促進因子であり,血管内皮障害や炎症を引き起こす.2型糖尿病患者だけでなく,軽症糖尿病や糖尿病予備軍でも食後血糖を厳格にコントロールすることが重要である.HbA1cや空腹時血糖値だけでなく,随時血糖値やブドウ糖負荷試験により食後高血糖を調べることが,動脈硬化進展抑制に重要である.さらに,血糖の日内変動幅が大きいと,動脈硬化を促進させることが明らかとなってきた4).
食後の高血糖を抑制するには,αグルコシダーゼ阻害薬などの薬物療法が効果をあげている.しかし,私たちはまず食事療法によって食後血糖上昇の抑制および長期間の血糖コントロールを実現することができないか検証した.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.