特集 食品の安全について考える
食品中の化学物質による健康影響評価—食ライフスタイルと変異原発がん物質の摂取
森本 兼曩
1
,
戸田 雅裕
2
1大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学
2大阪大学大学院医学系研究科博士課程
pp.389-392
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902742
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はじめに
食品中に含まれる有害化学物質は多種多様であるが,さて,その健康リスクはどのように評価するべきであろうか.
歴史的にみると,水銀,ヒ素,鉛などの重金属や細菌毒素が主要な有害化学物質であった,急性中毒中心の時代は遠く過ぎ去り,近年の重金属による長期微量の慢性毒性(腎障害や肝機能障害等のみならず,胎生期・小児期における精神神経学的機能障害など),食品添加物や残留農薬によるアレルギー(アトピー)や,突然変異,発がん影響をはじめ,10-10Mレベルのホルモン量による内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の生殖障害,性分化異常,精神神経学的な不安定状態など,作用が微量複合かつ長期的であり,その健康影響の科学的定量的評価が困難な場合が多い1,2).
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