「公衆衛生」書評
―大谷藤郎 著―『消えた山』
松島 松翠
1
1佐久総合病院
pp.701
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102536
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故大谷藤郎氏には多くの著作があり,私も多く勉強させていただいたが,このたび出版された自伝とも言うべき『消えた山』を拝見して,あらためて氏の「どうしてもこれだけは書き残しておきたい」という強い意志を感じて,深い感動を覚えた.
本書の題名の『消えた山』というのは,帰省の度ごとに懐かしく眺めていた故郷の山が,高度成長のあおりで削られて無残な姿になってしまったことに対する憤りと悲しみから名づけられた.この中で,氏が死の床にあった父親から初めて聞いた,氏の家にまつわる二つの事件が詳細に語られる.
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