一冊の本
「21世紀・健康への展望」—医療・健康づくり・プライマリヘルスケアを考える(大谷藤郎著,メヂカルフレンド社刊,昭和55年2月13日発行)
若月 俊一
1
1佐久総合病院
pp.1515
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221072
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この本には,プライマリヘルスケアに関するアルマ・アタ国際会議の報告がくわしく載っている,じつは,私も昭和53年9月のこの会議に呼ぼれていた.国際農村医学会(IAAMRH)の代表としてである.ところが,丁度その同じ日にIAAMRHの第7回大会が,アメリカのソートレーク市にあった.そこで止むなくアルマ・アタは欠席したのであるが,大谷先生によって書かれたこの本によって,その内容をよく知ることが出来たのみならず,世界の健康戦略に関するWHOの深い哲学を教わることになったのである.その会議を主導したWHOの事務局長マーラー博士の大きな意気込みを,まざまざと表現している先生の筆鋒にも深く感銘を受けたのである.
本書の第1部は,「医療の展望」(宮城県医療社会事業大会),第2部は,「国民健康づくり計画とは」(中央保健婦研修会),そして第3部が,「世界のプライマリヘルスケア」(アルマ・アタ国際会議のリポート)なのである.この三つはそれぞれ独立したものではあるが,「保健医療の原点に立ちもどって,しかも,21世紀の未来を指向する観点では共通しているし,結局は良きcommunityづくりに帰するという点では全く同じ内容」という.
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