連載 講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ─新しい仕組みをつくろう・4
非正規雇用労働者の安全・健康・権利
矢野 栄二
1
1帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座
pp.558-562
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102475
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派遣,パートタイマー,契約などの非正規雇用者の割合は,今や雇用者全体の3分の1を超え,女性においては過半数に達している.非正規雇用者増加の結果,労災事故,メンタル不調,受診抑制や保険の不支給が見られるが,一方,正規労働者の過重労働は少しも減っていない.非正規雇用は職場を分断し,すべての労働者の権利を弱め,健康にも影響する差別の問題と捉えるべきである.日本ではこの問題についての実証研究は必ずしも多くなく,海外との競争の中で労働コスト削減のため非正規雇用は必要悪との論もある.しかし,現行制度の下でもこれら労働者の健康を守るためにできること,なすべきことは多く,とりわけ公衆衛生専門職の果たす役割は大きい.
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