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あとがき・次号予告
高鳥毛 敏雄
pp.338
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102408
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イギリスのプライマリ・ケアの担い手は,庶民の医療者であった薬種商にルーツがあり,病院は病人の収容施設であった修道院から発展したものとされています.そのため病院の多くは,貧困者や労働者などの患者が多い地域につくられました.医師は自らの専門職団体(GMC)に登録し,管理・規制される仕組みとなっています.
一方わが国の場合は,国が中心となり,西洋医学を修める医学校・医学部がつくられ,医師免許は国により与えられ,病院の医師の発想を中心に急速に発展してきました.そしてわが国の医療制度は,西洋医学の病院,医師が全くない中からのスタートであり,また当時は感染症や急性疾患が中心の時代であり,国の強い力をもとにつくり上げられてきたことはやむを得ないことと思われます.その反面,庶民の医療を担っていた漢方医などを徹底的に排除したことに示されるように,地域医療が重要視されてこなかったように思われます.
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