特集 生食のリスク
生食とカンピロバクター
伊藤 武
1
,
和田 真太郎
1
1(財)東京顕微鏡院
pp.24-29
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102308
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
カンピロバクターは1950年代には下痢症状がある患者の血液培養から時々検出されていたが,糞便からの分離培養に成功していなかった.1972年になって,ベルギーの内科医Butzlerらは,下痢患者の糞便を濾過することにより,初めて糞便からカンピロバクターを証明し,本菌の下痢原性を明らかにした.その後,カンピロバクターの選択分離培地や簡易な微好気培養法が開発され,カンピロバクターは最も主要な下痢症原因菌であること,食品や飲料水による感染が頻発していることが明らかにされてきた.国内においても1983年,厚生省(当時)はカンピロバクターを食中毒と位置付け,食品衛生からの対策が重要であるとした.
本稿では,カンピロバクター食中毒の概要と家畜・家禽における分布,食肉汚染について紹介し,カンピロバクター食中毒,特に鶏肉やレバーの生食によるカンピロバクター食中毒とその対策について解説する.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.