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はじめに
第29回の列島ランナー糸数公先生が働かれている八重山福祉保健所,私はその所管内の石垣市健康福祉センターで医師として働いています.糸数先生,第28回の福井の四方啓裕先生,第31回の鹿児島の土岐篤史先生の3人の列島ランナーは皆,私が研修を受けた沖縄県立中部病院の後輩です.1年後輩の四方先生とは八重山病院でも一緒に楽しく仕事をさせていただきました.土岐先生は浜松医科大学の後輩でもあります.このような仲間が列島ランナーとして,全国各地で日々汗を流して走り続けていることを知り,たいへん嬉しく元気をもらいました.
私は静岡県富士市生まれで,1986年浜松医科大学卒.総合診療医をめざして沖縄県立中部病院の4年間,主として急性期医療を研修しました.その後2年間,石垣島の沖縄県立八重山病院で内科医として働く中で,喫煙や肥満などの生活習慣病対策の重要性に気づき,喫煙対策などを中心に予防医療にも関わるようになりました.病院業務の合間に学校や地域に出向いて健康講話を始めたのはその頃です.アメリカ・カナダでの短期臨床研修後には,日本最西端の与那国診療所長として半年間,ドクターコトー・島医者としての貴重な経験をさせていただきました.その後,舞鶴市民病院での研修指導医を6年ほどいたしましたが,沖縄の魅力は捨てがたく,八重山出身の妻と私との力関係も相まって,石垣島に戻ることになりました.県立八重山病院,石垣市救急診療所を経て,現在の石垣市健康福祉センター勤務に至っています.現在は,日中の保健予防活動に加えて,準夜帯の八重山病院救急室の応援業務(週5日)をこなしながら,多職種と連携した元気な地域創りに取り組んでいます.石垣島はトライアスロンでも有名ですが,私も①臨床(救急医療など),②予防医療,③地域の健“交”創りの,トライアスリート生活をエンジョイしています.
さて,糸数先生は「粛々と進まない健康づくり」というテーマで保健所の苦労を書かれています.私もこの20年を振り返って,行動変容の難しさを痛感しているものの,「楽しくて為になる」健康教育・学習が,健康づくりには効果的だと確信しています.中でも子どもたちが主役となり学び合うピア・エデュケーションは,健康づくりのブレークスルーになる手応えを感じています.
それでは,健康“共”育,健康“楽”習による健康創りをめざした,南の島の取り組みを紹介いたしましょう.
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