連載 衛生行政キーワード・79
結核医療提供体制をどう考えるか―疾病構造の変化に合わせた適切な医療提供体制とは
伊藤 智朗
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1厚生労働省結核感染症課
pp.978-979
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102294
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はじめに
結核は戦後,官民挙げての取り組み,衛生状態の劇的な改善により新規患者数は年々減少傾向にある.昭和26年には新規結核患者が590,662人発生していたものが,平成22年には23,621人と着実に減少している.昭和25年の時点では,本邦の死因の第1位が結核であったが,平成21年には24位となり,結核を取り巻く環境は著しく変化した.
さらには結核患者の内訳も,かつては比較的若い層にも多い病気であったものは,現在は70歳以上の患者が全体の50%以上を占め,高齢者が中心の病気となっている.さらにその傾向に伴い,結核患者は高齢に伴う疾患を合併することが少なくなく,結核の入院医療提供体制は,かつての結核の治療だけを念頭に隔離と服薬の徹底をしていればよかったものから,その他の疾患も同時に管理する必要あり,患者の多様性に対応できる医療提供体制の構築が求められている.
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