特集 睡眠と健康
睡眠と生活習慣病
三島 和夫
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部
pp.755-759
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102228
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はじめに
基本的な生活習慣の一つである睡眠に問題を抱えている現代人が増えている.睡眠問題として,睡眠不足(睡眠負債)やシフトワークのような現代に特徴的な睡眠習慣の問題に加えて,不眠症や睡眠時無呼吸症候群に代表されるような種々の睡眠障害が挙げられる.不適切な睡眠習慣や睡眠障害が,食事や運動の問題(過食,肥満,運動不足)と同様に生活習慣病の発症や悪化と関連していることが明らかになり,睡眠医療のみならず,内科学,プライマリケア,公衆衛生学などの分野でも大きな関心を集めている.
睡眠不足や睡眠障害と生活習慣病は相互増悪的な関係にあり,そのメカニズムは重層的かつ多因子的である(図1).睡眠は自律神経機能,神経内分泌機能,代謝,循環その他の多数の生理機能と連動して生じている複雑な生理現象であり,その障害は同時に,これら諸機能の変化を伴うためである.
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