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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅷ.腎移植関連
6.生活習慣病 ⑦睡眠時無呼吸症候群
Sleep apnea syndrome
坂本 和雄
1
,
西 慎一
1,2
Sakamoto Kazuo
1
,
Nishi Shinichi
1,2
1神戸大学大学院医学系研究科腎臓内科 腎・血液浄化センター
2服部病院腎臓内科・透析センター
キーワード:
睡眠時無呼吸症候群
,
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
,
SAS
,
腎移植
Keyword:
睡眠時無呼吸症候群
,
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
,
SAS
,
腎移植
pp.601-603
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001102
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1 病因・病態
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は睡眠時間1時間当たりの無呼吸と低呼吸の総数を無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)といい,AHI5以上の状態と定義される。AHIは重症度の評価にも用いられる。SASには,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)と中枢性睡眠時無呼吸症候群(central sleep apnea syndrome:CSAS)が含まれるが,有病率からはSAS=OSASと考えられることが多く,本稿ではOSAS(以後SASと表記)について述べる。SASの病態は,睡眠中のトーヌスの低下に加えて,吸気に伴う上気道内の陰圧に対して上気道開大筋群の不十分な代償機構により上気道が閉塞することである。SASは睡眠障害だけではなく,慢性腎臓病chronic kidney disease:CKD)患者の死亡リスクの増加にも関与している。SASの危険因子としては加齢,肥満,男性などがあり,肥満は最も主要な危険因子である。加えて,CKD患者においては体液量の過剰がリスクと考えられている1, 2)。そのため腎移植直後から早期にかけては腎機能が改善し,体液過剰が是正されることはSASの改善につながる可能性がある。一方で,移植患者は移植後から体重増加傾向になることが多く,BMI(body mass index)の増加はSASの危険因子となる3, 4)。加えて,移植後から時間が経過するとともに腎機能が低下し,体液過剰となることも,SASの罹患もしくは悪化の危険因子となる5)。
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