--------------------
あとがき
高鳥毛 敏雄
pp.976
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101964
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
明治期に「コレラ」により衛生行政が強化され,昭和期に「結核」により厚生省の設置,保健所網の整備がなされました.わが国の公衆衛生制度は感染症対策が原動力となってきたように思います.しかし,その感染症対策は一方で社会防衛的色彩の強いものとして放置され,感染者・患者に対する治療や支援・保護の視点が乏しいものでありました.ハンセン病対策の歴史から,牧野正直氏が「視点」欄で指摘されていること,特集内で石神亙氏がHIV/AIDS対策の歴史から指摘されている点を,私たち公衆衛生関係者は真摯に受け止めなければなりません.
当事者や市民の視点を取り入れたものへと,HIV/AIDS対策を進化させていく努力が必要であります.そこで,特集内で白石克孝氏にイギリスの地域戦略パートナーシップをご紹介いただきました.公衆衛生制度の母国イギリスの挑戦は,HIV/AIDS対策に資する点があると考えたからであります.その戦略は,国・自治体の行政は支援者であり,主役は地域に存在している様々な人々であり,企業,ボランティア団体,民間団体,当事者団体と考えたものであります.地域の人々の抱える問題の解決を中心に据え,パートナーシップの理念のもとに対策を進める活動形態であります.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.